石鹸製法は、無添加石鹸に見られる『けん化法』と、機械を使って、短時間で大量生産できる『中和法』との2種類があります。 また、釜炊きする一般的な『ホットプロセス』、加熱せずに作る 『コールドプロセス製法』 という区分けもあります。
けん化(鹸化法)は、オリーブ等の植物油と水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を反応させて石鹸素地を作ります。また、水溶性の高いカリウム石鹸(カリ石鹸)は、油脂に水酸化カリウム(苛性カリ)を入れて石鹸素地を作ります。※苛性ソーダや苛性カリは石鹸製造に必須なもので、けん化法の場合、自然乾燥の過程で残留はほぼ皆無になります。副産物として脂肪酸から遊離した「グリセリン」も出来ます。
けん化法に対し、中和法は、油脂を「脂肪酸とグリセリン」に分離し、脂肪酸だけをナトリウムを化合させて短時間で製造します。この方法では約3~4時間で石鹸が完成するので大量生産ができます。グリセリンを含まないため洗浄力が強い反面、お肌に対する保護力に欠けます。 そのため、グリセリンをはじめ、様々な化学添加物を添加(防腐剤・金属封鎖剤・酸化防止剤・発泡剤・色素・香料など)して石鹸の完成品を作ります。
前述のけん化(鹸化法)か中和法という区別のほかに、石鹸生地を鹸化するときに加熱するかしないかの方法によによっても製法を区別することが出来ます。
石鹸の原料を混ぜ合わせた時に自然に発生する低温の熱を利用して鹸化を進め、 その後は熱を冷ましながら1ヶ月以上掛けて石鹸を作っていきます。
これにより熱に弱い成分にも影響が出ず、保湿剤であるグリセリンや油脂の中に含まれている有効成分を残すことができます。
また、適度に油脂が残っているため、使い心地は市販の石鹸とは随分違ったものになります。完成までに時間は掛かりますが、紀元前2800年頃から伝わる最もシンプルな製法です。
混ぜ合わせた石鹸生地を加熱して鹸化を進めます。数時間~数日で素早く鹸化を進めることができるので、大量生産したいメーカなどはこの製造方法がほとんどです。しかし、100℃以上の高温で数時間に渡って加工するので熱に弱い成分に影響が出てしまいます。